長岡新聞2003年12月25日

大論戦、厳しい応酬

長岡市議会 議員の海外視察中止めぐり大論戦、厳しい応酬総務委員会三対二で請願を採択
長岡市議会12月定例会に、153人の市民による「議員の海外視察中止を求めることに関する請願」が、西澤信勝、桑原望両議員の紹介で提出され、議会内で喧々諤々の議論となった。 17日の総務委員会(加藤一康委員長)は、153人の市民から出された「議員の海外視察中止を求めることに関する請願」を審議した。 斉藤博(新和ク)、田中誠一郎(同)両委員は3月議会までをめどとして、議員協議会で議論を深めようと請願を継続審議とするよう主張した。山田保一郎(公明党)、関貴志(無所属)両委員は請願を採択すべきとし五十嵐清光(民政ク)、五井文雄(市民ク)両委員は請願の不採択を主張した。笠井則雄委員(共産党)は紹介議員に請願の表題部分の「海外視察中止」を、本文と同様に「海外視察を当面の間中止」とするとともに、本文中の「多年にわたり公費による海外視察が行われ」から「公費による」を削除するよう要求した。 斉藤委員の助言で紹介の西澤信勝議員は加藤委員長に休憩を要求、休憩中に請願代表の小野塚邦夫氏と協議、請願者は訂正の要求を受け入れた。笠井委員はこれを受けて採択を表明した。 同委員における採決の結果は、前述の各委員の主張の通りで、まず継続審議が否決され、斉藤、田中両委員は退席した。残る5人の委員による採決は採択3、不採択2となり、同請願は同委員会で採択された。

双方の主張真っ向から対立

17日の総務委員会と19日の本会議において賛成、反対の双方の主張が真正面から激突、議員の公費による海外視察の是非をめぐり激論が交わされた。 西澤、桑原両紹介議員は、「市の厳しい財政状況や市民感情を考慮し、費用対効果の面からも高額な費用がかかる海外視察は、当面の間中止すべきだ」と主張。 これに対し、海外視察の存続を主張する五十嵐清光、五井文雄両議員は、「長岡市は国際交流を進めている。国際化の進展や議員の資質向上の面からも海外視察は欠かせない。視察が市政に生かされた事例も数多くある」と反論した。 議員の海外視察はこれまで、三期以上の議員にのみ資格があるとされ、一部の市民から「永年勤続の褒美としての物見遊山ではないか」との疑問や批判が出ていた。 市議会は各派代表者会議(以後代表者会議)において、海外視察は三期以上の議員との慣例を廃し、幅広く議員を派遣することを申し合わせていた。議会事務局は今年度と同様に、議員四人分の派遣費用を来年度予算に要求していた。 紹介議員らは「代表者会議には何ら法的根拠が無い上に。傍聴も許されていない」として、「密室ではなく、公開の議員協議会で重要事項を決すべきだ」と主張し、反発していた。 最大会派の民政クラブや市民クラブは、「無所属の議員でも『無所属の会』などとして会派を結成すれば、代表者会議に出席出来るのに、会派を組まないのはそちらの勝手だ。無所属議員を排除しているわけではない」とし、双方の主張は平行線のままだ。 153人の請願者の代表、金房3の小野塚邦夫氏は、「海外視察を全面的に否定するものではないが、これまでの視察コースを見る限りでは、観光目的と受けられても仕方あるまい」と、同請願を提出した理由を述べた。 また、「この請願は議員個々の良識に訴えたのに、会派拘束で意見を統一したのは納得出来ない。共産党と公明党以外の議員は、市議選には無所属で出馬している。それにかかわらず、選挙後に政党別などで会派を組むのは市民を欺く行為だ」と、会派による議会運営を批判した。 来年度、北信越議長会は、拉致被害者救済を国連に陳情するための海外視察を主催する。新潟市議会が幹事役であり、長岡市議会はこの視察に4人の議員を派遣することをほぼ決めている。 再来年度には長岡地域七市町村の合併で、新長岡市が誕生する見通しだ。議員による公費での海外視察の是非は、新市議会へと持ち越される見通しとなった。 議員海外視察中止の請願  本会議で逆転、不採択 長岡市議会は最終日に当たる19日の本会議で、総務委員会の加藤一康委員長が「議員の海外視察を当面の間中止することに関する請願」について、同委員会は「採択」と議決したと報告。  この報告に対し五十嵐清光(民政ク)、五井文雄(市民ク)の両議員は、「議員の見聞を広め資質を向上する為に必要だ」、「国際化の流れに逆行する」として反対の討論をし、桑原望議員(無所属)は「これまでの視察コースには観光が多く含まれており、費用対効果や市民感情からも認められない」と賛成の討論をした。起立採決が行われたが、継続審議を主張する新和クラブの6人の議員は退席して棄権した。残る26人の議員による採決では、同誓願に賛成したのは、共産党の3人、公明党の2人、無所属4人の計9人で少数。反対したのは民成クラブ8人、市民クラブ7人、新政クラブ2人の計17人で過半数を占め、総務委員会の議決を逆転し、同請願は本会議で不採択と決した。  傍聴席の24人の中から、市民感覚と市議会(市議会議員)感覚との乖離を嘆いて、「市議会には議会改革への意欲が感じられない」との声が聞こえた。


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